2017年6月19日月曜日

資源過剰によるデフレは良いデフレ

テクノロジーの進化によって利用可能資源の幅が広がると、資源の供給量が爆発的に増加して、資源価格は暴落するでしょう。すると原材料費が低下して価格が下落し、デフレを引き起こすと考えられます。しかしこのデフレは良いデフレかも知れません。

今日問題になっているデフレは「おカネが回らないことによるデフレ」です。商品も資源も十分にあるにもかかわらず、消費者の購買力が低いためにモノが売れずにおカネがまわらない。モノが売れないために市場競争によって市場における販売価格がますます低下し、結果として失業を生み、格差を拡大してしまいます。悪いデフレです。

一方、資源価格が下落するとコストが低下するため、それに伴って価格が下落し、デフレになる可能性があります。この場合は「売れないから市場競争によって価格を下げざるを得ない」のではありません。原材料費が下がるので、ほとんど自動的に価格が下がります。

価格が下落するため、企業の売り上げ総額が減少するかも知れません。しかし同時に原材料費も減少しているため、利益は減りません。むしろ、価格の低下によって売り上げ数量が増加する可能性があります。売り上げ数量が増加すると、利益総額が増加します。

利益総額が増加すると、企業は投資を増やしますし、また従業員に支払う賃金を増やす可能性もあります。すると、労働者の購買力が拡大し、消費も増加する可能性があります。こうして、物価が下落する、つまりデフレにもかかわらず景気がよくなる現象が生じる可能性があると思います。

不景気とインフレが同時に生じる現象を「スタグフレーション」と呼び、これは資源価格が高騰する(資源が不足する)ことで生じます。ですから、その逆に、資源が供給過剰になれば、好景気とデフレが同時に生じても不思議はありません。こうしたことは今まで考えられなかった事態なので、名称はありませんけど。

してみると、ただ単純に「インフレが良い」「デフレが悪い」だけで判断することが、必ずしも正しいと言えないと思われるわけです。たとえば最近、原油価格の下落によってデフレを増長しましたが、これは必ずしも悪いことではありません。ただし、原油を産出している国にとっては、良いことではありません。世界全体としてみれば資源の供給過剰は悪いことではないのですから、何かしらグローバルな調整が必要な時代なのかも知れません。

テクノロジーの進化は人類のすべての人々にとって、とても重要であり、政府は国を挙げてテクノロジーの進化、資源利用技術の開発に取り組むべきだと思うのです。それによって「モノが安くなって、なおかつ景気が良くて豊かになる」社会が実現するかも知れません。