2017年7月13日木曜日

災害危険地域から計画移転すべきか

毎年のように豪雨災害が発生して多くの人命が失われています。地球温暖化により、こうした豪雨災害はますます増える可能性もあります。こうした状況の中で、土砂災害のような人命に関わるリスクのある危険地域から国策として人々を移住させるべきか、悩ましいところです。

ひとたび豪雨災害が起これば人命が失われるだけでなく、行方不明者の捜索などに自衛隊や消防をはじめとする膨大な人々が投入され、多くの人に苦労をかけることになります。こうした豪雨災害が地球温暖化の影響で今後ますます増えるとなれば、これは単にカネの問題では済まなくなります。

異常な集中豪雨はどこで起きるか分かりません。しかし、もし集中豪雨が襲ったときにどの地域・どの家が人命を失うほどに危険なのかをあらかじめ予測することはある程度可能です。そうした地域・家に住む人々が、もっと安全な地域に移住すれば死亡災害の発生を未然に防ぐことは可能です。

もちろん、そうした地域は全国にとても多いかもしれませんから、優先順位を決めて移住させる必要はあるでしょう。一度に全ては無理です。移転先は同じ地域の高台でも良いですし、別の地域でもかまいません。地域ごと極めて危険であれば、別の地域に集団移転もありえるのではないでしょうか。もちろん、国がすべての費用を負担するのです。カネは刷ればいくらでもあります。

かなり昔、まだアメリカ経済がサブプライムローン・バブルで沸き立っていたころ、テレビ番組で見たことがありますが、それによれば、当時アメリカを襲ったハリケーンによってミシシッピ川下流域が甚大な被害を被った災害を受けて、危険地域の町をまるごと安全地域に移転させる話がありました。もちろんアメリカと日本をまったく同じに考えることはできませんが。

日本社会全体として考えた場合、リスクの高い地域に分散して人々が生活していては、すべての地域の安全性を確保することは難しいですし、災害発生時の対応も大変です。災害対応は工場生産などと違って機械化が難しく、マンパワーが不可欠なので、人口減少社会では災害対応の緊急体制の維持が困難かも知れません。ある程度、安全な地域に人々が集まって生活したほうが、社会全体から見れば運用が楽に出来ます。

とはいえ、災害危険地域やその家に愛着を持って住んでいる多くの人々もいるため、強制的に安全地域に移住させるのはどうなのか、気になるところです。地域によっては廃村になるわけですし、それらが地域文化的に何らかの影響を及ぼさないか心配でもあります。希望者だけ移住させてしまえば、地域社会が成り立たなくなります。

しかし、これまで考えられなかった豪雨災害が多発する日本になってしまうのであれば、災害危険地域の扱いに対して、妥協が可能な何らかの政策を検討する必要があるのかも知れません。悲しいことですが。