2017年9月13日水曜日

グラフで見る、カネを刷らない日本経済

日本の経済がダメになったのはおカネを刷らないからです。それはおカネの伸びと経済指標(経済成長率・雇用者報酬・税収・物価)の推移をグラフ化して並べてみれば誰でも簡単に分かる事実です。

(じいちゃん)
「今日は、カネを増やさない日本の経済がどうなったか?を、グラフで見てみようと思う。日本は「カネを刷らない国の経済がどうなるか」の実例を世界に示しておるのじゃよ。多くの人は日本はカネが唸るほどあると思っているじゃろうが、実際のところおカネの増え方は日本が経済成長を続けてきた時代に比べると半分にも満たない状況じゃ。世の中のおカネの伸びはマネーストック(M2:現金預金)の伸び率でわかる。マネーストックの伸び率が低いと経済成長できなくなる。まずマネーストックの伸び率と名目GDPの推移をグラフで見てみよう。

①カネを刷らずにGDP頭打ち


1990年まではおカネの伸びがおおよそ10%くらいあり、その間はGDPがぐんぐん成長しておる。ところが1990年を境におカネの伸びは急激にほぼゼロにまで激減し、その後は3%程度の伸びに留まっている。すると1990年以降GDPの伸びは減速し、ほとんど成長しなくなってしまったのがわかる。これをマネーストックの伸び率と名目経済成長率のグラフで見てみよう。

②カネを刷らずに経済成長低迷



(ねこ)
「おカネの伸び率と経済成長率の変化がピタッと一致しているにゃ。おカネの伸び率と名目経済成長率には強い相関関係があるのにゃ。」

(じいちゃん)
「そういうことじゃ。これはたまたまそうなった(擬似相関)のではない。おカネが経済活動の媒介をしているのじゃから、世の中のおカネが増えなければ経済成長できないのはある意味で当然の成り行きとも言える。

経済成長しないとどうなるかというと、労働者の給料がちっとも増えなくなる。世の中のおカネが増えなければ、働いても働いても給料が増えないのじゃよ。マネーストックの伸び率と雇用者報酬(全国の労働者のお給料の合計)をグラフで見てみよう。

③カネを刷らずに労働者の賃金低下

マネーストックの伸びが激減した1990年以後、雇用者報酬は伸びなくなり、逆に減り始めた。働けど働けど我が暮らし楽にならざり、というわけじゃ。おまけにカネを増やさないから税収も増えない。次にマネーストックの伸び率と税収、政府支出をグラフで見てみよう。

④カネを刷らずに税収減少・財政悪化

カネの伸びが減った1990年を境に税収の伸びはピタッと止まった。とはいえ社会保障などに必要な政府の支出は減るはずがないので、歳入と歳出の差はどんどん開き続ける結果になったんじゃ。これが「ワニの口が開く」というヤツじゃよ。じゃがワニの口が開き始めたのは、世の中のカネが増えなくなったからだとわかる。」

(ねこ)
「とんでもないにゃ。世の中のおカネが増えないから労働者の給料は減る、その一方で世の中のおカネが増えないから税収も増えずに財政赤字になるにゃ。そして財政赤字だからといって、財務省が減ってゆく労働者の給料からさらにおカネを毟り取ろうとしているにゃ。そんなことしないで世の中のおカネを増やせばいいのにゃ。」

(じいちゃん)
「その通りじゃな。ところが財務省とその取り巻きである新聞テレビ、御用学者、自民党の税制調査会の議員連中は世の中のおカネを増やすよりも、税率を引き上げてちっとも増えない労働者・庶民の所得からさらにカネを奪おうという発想しかない。そんなことでデフレを脱却できるなんて考えるのはお笑いじゃよ。おカネを増やさないと物価は上昇しない。それをマネーストックの伸びとインフレ率のグラフで見てみよう。

⑤カネを刷らずにデフレから脱却できない

1973年と1979年に物価が跳ね上がっているが、これはオイルショックによるものでおカネの量とはあまり関係がない。これを見ても1990年以降はインフレ率がゼロあるいはマイナスという状況が長く続くようになっておる。カネを増やさいからインフレ率が高くなるはずがない。」

(ねこ)
「馬鹿みたいなのにゃ。おカネを増やさないから経済がおかしくなっているのはグラフを見れば誰でもわかるのに、おカネの話になると新聞テレビも御用学者も、見ざる、聞かざる、言わざるになってしまう。なんでおカネを増やさないのかにゃ。」

(じいちゃん)
「そう思うのが普通じゃが、中には「カネが増えないのは景気が悪いのが原因であって、日銀は悪くない」なんて主張する人もいるじゃろう。だが日銀はおカネを発行できる立場なのだから、おカネが増えないのはまさに日銀に責任がある。とはいえ通貨制度に欠陥があることも事実じゃ。

このサイトでは何度も説明しておるが世の中のすべてのおカネは借金から作られている、つまり「誰かが借金しなければ世の中のおカネは1円も増えない」という通貨制度になっておる。そのため日銀がおカネを発行したところで、誰かが借金しなければ世の中のおカネは1円も増えない(いわゆるブタ積み)。そこで世の中のおカネを増やすために今までは政府が借金する(国債を発行して市中銀行が国債を買う)ことで世の中のおカネを増やしてきた。ところがその結果として国債の発行残高が1000兆円を超えるようになって、財務省が大騒ぎしているわけじゃよ。」

(ねこ)
「アホみたいだにゃ。誰かが借金しないと世の中のおカネが増えない通貨制度がおかしいにゃ。」

(じいちゃん)
「左様、じゃからこそ通貨制度改革が必要だとわかるはずじゃ。誰も借金しなくても世の中のおカネをふやすことができる通貨制度に変えなければならんのじゃ。それが政府通貨制度なんじゃよ。詳しくは本編サイトの他の記事を読んでくれるとありがたいのう。」

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