2017年10月3日火曜日

ワイズスペンディングじゃあ旧民主党と同じ

ワイズスペンディング(賢い財政支出)の考え方は、歳出の総額を増やさずに内容を最適化する方法です。しかしこの方法は掛け声だけで何もできなかった「旧民主党政権」と同じ考えです。所詮、おカネがなければ何もできないのです。

旧民主党政権においても、ワイズスペンディングによって社会を変えようと考えられていました。おカネの使い道を変えるのだと。そして実際、民主党が打ち出したのがコンクリートから人へ、つまり「人」への投資であり、また少子化対策としての「子供手当て」であったわけでしょう。

人への投資や子供手当ての考え方は極めて正しい政策であり、それは今の安倍政権が似たようなことをしていることからも明らかです。安倍政権が最近打ち出した「全世代型社会保障」など、政策名が違うだけで、目指す方向は同じです。だから、民進党は安倍の争点潰しにあってしまったわけです。

では、旧民主党政権の何が根本的に間違っていたのか。財源に関する考え方です。あくまでも歳出を増やさず、限られた税収の範囲で、歳出の使い道の変更によって人への投資を実現しようとしたことです。これこそが、民主党の非常に甘い点だったのです。

予算の付け替えだけで、それほどの予算は捻出できません。あれだけ事業仕分けだなんだと大騒ぎしても、出てくるおカネは微々たる金額に過ぎません。それでは大きな政策を打つことなど不可能なのです。だから掛け声だけで何もできずに終わってしまった。もしあの時、旧民主党が頭を切り替えていれば、今頃は社会も大きく変わり、自民党の1人勝ちに終止符が打たれていたかも知れません。

しかし旧民主党は金融政策に関して極めて保守的な考え方しか持ち合わせておらず、もっと言えば、おカネの仕組み、意味をまるで理解していませんでした。そのため、ヘリコプターマネーはおろか、日銀の量的緩和政策にすら考えが及ぶことはなかったわけです。

世の中はカネの手当てができなければ何もできません。しかし、カネさえ手当てできれば、それを生かす生産力・技術力のパワーは日本に余るほどあるのです。実際にパワーが余っている(労働力・資本過剰)からデフレなのであり、賃金が低下してしまうのです。もしパワーが足りないのならデフレではなく、日本はとうの昔にインフレになっているはずです。つまり、足りないのはおカネなのです。

そうした極めて簡単な、小学生でもわかる理由に気付けば、今まさにおカネを発行し、それを財源として大胆な政策を打つべき絶好のタイミングであると理解できるでしょう。まさに絶好のタイミングなのです。今しかない。なぜそれをミスミス逃してしまうのか。

もし、小池氏の希望の党がワイズスペンディングで世の中を変えられると考えているのであれば、それは旧民主党政権とまったく同じです。実に甘い。予算の付け替えで出たショボイ財源で打てる政策など知れています。その場合、結果は見るまでもなく、旧民主党と同じ結果になるはずです。つまり、希望の党はイメージだけ良くて結局は何もできないまま終わるのです。