2017年11月10日金曜日

移民で日本が豊かになる妄想

移民を推進しても日本は豊かにならない。マクロで考えれば当たり前のことです。移民政策の前後で何が変わるのか?人口が増えるだけなのですよ。

新聞テレビが余計な情報をワンワンと流すために多くの人々は頭が混乱していますが、冷静に考えれば誰でもわかることです。移民政策を行って何が変わるのか、それは日本の人口が増えることです。それだけです。では、日本の人口が増えると豊かになるのか?なりません。

そもそも人口と豊かさには関係がないからです。中国は13億も人口がありますが、GDP総額は大きくても1人当たりに換算すればそれほど高くない。ルクセンブルグのような小国は中国に比べればアリのような人口ですが、1人当たりGDPは高い。豊かな国なのです。

世界的に見ても、人口が多いほど豊かだという国はないですね。イギリスもフランスもドイツも日本より人口は少ないですが、日本より貧しいわけではありません。

人手不足で経済成長しないとマスコミに煽られると、マクロで考えない人は直ぐに騙されます。確かに人手が増えれば総額としてのGDPは増えますが、同時に人口が増えるわけですから、1人当たりに換算すれば何も増えないのです。割り算ができれば、小学生でもわかります。

それどころか、人手不足だからこそ賃金が上昇するのです。バブルの時代に賃金が上昇した理由は、人手が不足したからです。人手が不足しないで、どうやったら労働市場で賃金が上がるのか。賃金は市場原理で決まるのですよ。

移民を「奴隷」として入れれば話は別です。移民から労働搾取すれば日本人は豊かになる。ブラック企業で低賃金・長時間労働で働かせて、その分だけ日本人が楽になるシステムを構築するのです。移民を底辺とする格差社会を作れば、日本人は豊かになる。そんな非人道的なことが許されるのでしょうか。

豊かな社会とは、総額としてのGDPが大きい国ではなく、1人当たりGDPが大きい国のことです。1人当たりGDPを増やすためには、人数を増やしても意味がありません。1人当たりの生産性を高めることです。生産性を高める最も有効な手段は「資本装備率」です。すなわち機械化なのです。

右派・左派ともに、移民政策で日本が豊かになると勘違いしている奇特な人がいまでも多い、それどころか新聞テレビまで勘違いしている。景気対策はおカネを発行して国民に配れば済む簡単なお仕事なのに、わざわざ移民だの何だのと、本質とは無関係の話を持ち出して、本業をないがしろにしている。物事の優先順位がわからない。

企業でも物事の優先順位がわからず、良いとされる戦術を手当たり次第に実行するダメ経営者がいますが、そういう企業は潰れます。企業はそれでも結構ですが、日本国において優先順位も分からずに国を潰されたのでは、国民は悲劇でしょう。