2017年11月24日金曜日

国民は倒産する会社の社長にそっくり

以前に勤めていた会社は倒産したが、その社長は「優秀な人材がいれば成功する」と考えていた。国民の多くも「優秀な政治家がいれば国が良くなる」と考えているらしいが、今度は国が倒れる番かもしれない。

その社長は「優秀な人材」が大好きで、自分が優秀と思う社員を厚遇し、逆に無能だと思う社員を冷遇して会社から追い出すということを繰り返していた。そして優秀な社員を求めて、常に新たな社員を求め続けていた。だが、そんな優秀な社員は集まるはずもなく、人の入れ替わりが激しいために常に会社は不安定だった。

今の国民を見ると、その社長にそっくりだ。国民も「優秀な政治家」が大好きで、常にそうした政治家を求めているようだ。大河ドラマの主人公である。水戸黄門である。そういう人を選挙で選んで統治してもらえば世の中が良くなると考えている。ところが、そんな人材は、いるわけがない。その結果、選挙をして新しい内閣が誕生しても「こいつじゃない」と言い出して、すぐに支持率が落ちる。そこでマスコミが喜んで大騒ぎし、政権から引き摺り下ろす。そしてまた選挙して、また「こいつじゃない」と言い出し、マスコミが喜んで騒ぐ。

しまいには、「何度選挙しても優秀な政治家が出てこない、これは政治家が悪いからだ」と言い出し、「政治家はダメ」「政治はくだらない」「選挙は無意味」と決め付けるようになる。そして投票しない政治的に無関心な国民が増える。これはほとんどお笑いだ。そもそも「優秀な政治家」なんていない。そんなありもしない夢を追い求めて空回りする国は、いずれ倒産するだろう。

必要なのは優秀な政治家ではない。
優秀なシステム(政策)である。

システムが優秀であれば、多少アフォな政治家でも優秀な結果を導き出す。どのようなシステムが必要とされるのか、まずそれを国民が描き出さねばならない。システムは政治家が描くのではなく、国民が描くべきものだ。もし優秀な政治家を求めるとすれば、そのシステムを構築する実務能力を問うべきなのです。

とはいえ実際のところ、それはかなり難しい。選挙権を得たばかりの若いヤツや高齢者に「システムを考えろ」と言っても無理がある。だから識者が様々な例を示し、マスコミが様々な識者を紹介しなければならない。しかし彼らがその役割を十分に果たしているとは思えない。政治家のゴシップや相撲力士の暴力沙汰で、延々と同じことを報道するのに忙しい。国民にシステムを考えさせるなどあり得ない、むしろ逆だ。

これで日本が良くなったら奇跡だ。

すべての国民がシステムを考える事は無理かも知れないが、少なくとも、「理想の政治家」を追い求めて失望を繰り返すのではなく、「理想のシステム(政策)」を最優先に求めるべきだとの認識を持っていただきたいのです。いる筈もない理想の政治家を追い求めることは不毛です。