2017年11月30日木曜日

メルカリとベーシックインカム

誰でもネットを利用して気軽に売買できる「メルカリ」というサービスがヒットしている。しかしこのシステムが本当に活かされる社会になるには、ベーシックインカムが必要かも知れません。

ネットによる売買サービスはすでにヤフオクが普及し、さらにスマートフォンの普及に乗っかってメルカリが急成長しています。これらは使わなくなったモノを簡単に現金化できるメリットを提供し、同時にリユースによる「長く大切に使う」という社会への変化を促すと考えることができます。しかし問題も発生しています。

小売店から万引きした商品を売りさばくことに利用されています。商品を盗んでおカネを稼ごうとする人々の増加です。これはイタチゴッコのようなもので、出品者が無数にいるのですから、完全に排除するのはかなり困難だと思われます。

また、リユースによって中古品ばかりが取引されるようになると、新しく生産された商品が売れなくなります。それでなくとも消費が伸びないといわれている時代に、ますます消費が増えなくなり、景気は良くならないでしょう。売り上げが増えない限り労働者の賃金は増えませんから、貧富の格差は解消しないでしょう。脱デフレのハードルも上がります。

そもそも、なぜネットオークションで安い商品を求める人が多いのか。やはり「カネがない」人が多いから、というのも一因だと思われます。本当の意味でのリユースではなく、カネがないから新品を買うのではなく中古でガマンする、といった主旨なのではないかと思われるのです。もちろんそれが全てではありませんが。

こうしたネット売買サービスの問題点を解決するのがベーシックインカムだと思われます。例えばベーシックインカムが実施された社会では、おカネのために万引きした商品を売りさばく必要はありません。盗む行為そのものを楽しむような悪質な人でもない限り、こうした犯罪はなくなると思われます。

また、ベーシックインカムを給付すれば人々が十分なおカネを手にするため、「カネがないから中古品でガマンする」人は減るはずです。その結果、ネットオークションは衰退するかもしれません。しかし本当の意味でのリユース、「長く大切に使う」人はそのまま利用を続けるでしょう。それこそ本当に意味のあるリユースです。

ベーシックインカムによって購買力が増加すれば、メーカーの生産した新品の商品の売れ行きも増えますから、景気は回復し、脱デフレは実現されるでしょう。しかし同時に、過剰に消費する必要もなくなります。つまり「無理矢理に消費を増やして、労働者の賃金を増やす必要」がない社会になるからです。

売り上げを拡大しなくともベーシックインカムで所得が保障されているのですから、もし仮にヤフオクやメルカリが大流行してメーカーの新品が売れなくなって消費が拡大しない社会になったとしても、問題ありません。

本当の意味で、必要に応じてメーカーの生産した新品を買う、あるいは中古品を買う。その選択が社会におかしな影響を与える心配のない社会が実現するのだと思います。