2017年12月15日金曜日

通貨供給5%でインフレ3%、実質成長2%の目標

金融・財政を一体化した時にどれくらいの通貨を供給するか。例えばバブル崩壊前の水準である年率7%~10%で考えつつインタゲ2~3%を設定してみてはどうでしょう。

通貨供給(マネーストックの伸び)はバブル崩壊前、つまり「デフレ日本」になる前は年率で7%~10%程度だったわけです。ですから通貨供給の目安としてその数値で考えるのも一つの方法と思われます。とはいえ、いきなり年率7%も供給するのは不安なので、まずは5%から開始すると良いと思うのです。

すると「ハイパーインフレがー」と言い出す人もいるでしょうが、そもそも、現在もマネーストックはおよそ3%伸びています。にもかかわらず、インフレ率はほとんどゼロに近い状態です。現在のマネーストックはおよそ900兆円なので、その3%は27兆円です。年間27兆円のおカネが増えてもデフレなのです。

そこで伸び率を5%にすると、年間45兆円になります。この45兆円を財政支出を通じて通貨供給します。これだけあれば、社会保障の充実も、社会資本の充実も可能でしょう。もちろん、税収に加えて45兆円も財源があるのですから、国債を発行する必要はなくなります。

もし世の中のおカネが増えたにも関わらず、生産性がまったく向上しなければ、生産される財の量は同じなので、おカネが増えた分だけ物価が上昇します。増えたおカネ以上に物価が上昇することは「基本的に」ありません。これは小学校の算数程度の問題です。

もちろん例外があって、いままで貯蓄として死蔵されていたおカネが急に消費や投資に向けられた場合は、それ以上に物価が上昇します。しかし使えるおカネの量は存在するおカネの量(マネーストック)を超えることは不可能ですから、いずれインフレは収束します。逆立ちしてもハイパーインフレにはならないのです。

5%の通貨を供給して5%のインフレだと面白くありませんね。これは生産性が向上しないなら、そうなる可能性はあります。しかし機械化はどんどん進みますから、生産性は必ず向上します。ですから5%の通貨を供給してもインフレ率は3%程度で収まり、名目成長率5%、実質経済成長率2%程度を実現できる可能性はあるでしょう。

実際にどれだけ生産性が向上するか、どれだけ死蔵されている貯蓄が動き出すか、それらを机上で正確に予測することは不可能です。ですからインフレターゲットを2%あるいは3%に設定して、通貨供給量をコントロールする必要があると思われます。

そして、金融・財政を一体化した制度、つまり100%マネーを採用すれば、通貨供給量を政府・日銀が直接コントロールできますから、これまでのような民間依存の通貨供給とは比較にならないほど正確にコントロールできるようになるのです。

まずは、安定的に通貨供給量を5%とし、それを利用して毎月1万円のベーシックインカムをスタートする(予算15兆円)べきだと思います。