2017年12月12日火曜日

国益は国民の所得引き上げで守れ

自由貿易による悪影響を緩和し国民生活を守るためには国民の所得向上が欠かせません。自由貿易に反対するだけでは十分といえません。

自分は調和的なグローバリズム(たとえば平和、環境、文化交流)には賛同していますが、カネを増やすためになりふり構わない「拝金主義グローバリズム」にはまったく賛同していません。もちろん自由貿易の効用は経済学的に明らかですが、物事はすべてに功罪があるのですから、節度ある自由貿易が必要と考えています。

しかし、拝金主義グローバリストが支配する今日の世界では、自由貿易から逃れることは困難を極めます。政治家も新聞テレビも多くの経済評論家も、もろ手をあげて拝金主義的なグローバリズムを賞賛しており、熾烈な国際競争によって日本に格差と貧困が蔓延するその日まで手を緩めることはないでしょう。

では強欲な拝金主義者にどう対処するか。

安い輸入品が入ってきても、国産品を買えるだけのおカネが国民にあれば、その影響は軽減されます。国産品の質が高く安全であれば、それは競争力を持ちます。しかしおカネがなければ買えません。国民におカネがないから安い輸入品が脅威になるのです。もしおカネがあれば「本物志向の消費者」は国産品を買います。

もちろん「高いけど粗悪」なら、これは救いようもありません。残念ながら諦めていただきましょう。そういう製品を生産する意味はありません。しかし、国民にカネがないという理由で高品質の国産品が駆逐されるなら、これは国益にかなうとは思われませんね。

必ずしも輸入品を排除する必要はないのであって、消費者に選択の幅を与えるということです。消費者にカネがなければ、輸入品を選択するしか道はありません。消費者にカネがあれば、安い輸入品を買う人もいれば、品質を優先に買う人もいる。選択の幅が広がる。これこそが消費者メリットではないでしょうか。

国民を貧乏にしておいて、「安い輸入品に消費者メリットがある」と主張する新聞マスコミは、欺瞞もはなはだしい。

グローバリズムを推進しようというなら、国民所得の引き上げは必ずセットでなければなりません。それを怠るから、グローバリスムのもたらす過酷な市場競争が社会を歪め、人々の不満を高め、過激主義や排他主義が台頭すると思うのです。