2017年12月14日木曜日

通貨制度改革による金融・財政の一体化

現在の制度では金融政策と財政政策は別のモノだと考えられています。しかしそれは通貨制度に原因があるのであり、100%マネーの通貨制度を採用すれば、金融と財政の政策は一体化します。

100%マネーについては何度も説明していますが、民間銀行の信用創造を禁止することで、民間銀行による預金通貨の発行を停止し、すべての通貨供給をあくまでも政府(日銀)が担うものとする制度です。今までの通貨供給は民間に依存していましたが、政府が直接に行うのです。

これまでの通貨制度におけるおカネの供給は、すべて「市中銀行からの貸し出し」として行われてきました。この際に預金が新規に発行されることでおカネを増やしてきました。しかし、100%マネーになると、市中銀行から貸し出される際に預金は発行されません。ですから、政府が市中におカネを供給するには、必然的に財政政策として直接に供給する必要があります。

金融政策とは世の中のおカネを増やす(あるいは減らす)政策のことです。金融・財政が一体化すると、世の中のおカネを増やす場合は、財政支出が行われるということになります。では、この政策の肝はなにか。

金融政策の側面としては、「どれだけの通貨供給を行うのが適切なのか」という量を管理することになります。この供給量によってインフレ率が管理されることになります。もしインフレ率が高いようなら、財政支出の量を減らしたり、徴税によって世の中のおカネの量をコントロールします。適切な通貨供給量の判断は日銀が引き続き関与すれば良いと思います。

財政政策の側面としては、「どれだけ支出に効果があるか」という質の管理をすることになります。消費者サイドに給付金や社会保障として支給すること、あるいは政府投資として研究開発やインフラ投資などへ投資することが有効だと考えられますので、それらのバランスを検討することになるでしょう。それは国会において決めれば良いと思います。

こうすれば、今日騒がれている「金融政策優先か、財政政策優先か」という迷いはなくなります。両方兼ねているからです。検討すべきは「どれくらいおカネを供給するのか、それを何に使うのか」という判断になります。

もちろん、財政支出は通貨供給の範囲だけ収める必要はないわけです。より充実した社会保障や社会資本が求められるのであれば、それに応じて必要最低限の課税はすべきでしょう。その際の歳入としては「通貨発行益+税収」になるわけです。

これらによって、国債に頼ることのない歳出が可能となり、プライマリーバランスが保たれることは間違いありません。国債は廃止され、将来世代への借金は根本的に必要なくなるのです。