2017年12月21日木曜日

利権としてのリフレ派VSケインズ派

リフレ派とケインズ派の争いを冷めた目でみると、利権争いの側面が見える気がします。それは資産家利権VS土建業利権です。

ケインズ派は財政出動による経済の安定化を目指します。よく言われることとして、ケインズ派は公共工事の増額を主張するため「土木建設業の利権と関わっている」といわれます。利権ガーです。しかし実際にそうでしょう。土木建築業におカネを流すのですから、それらの業界にとってこれほど美味しい話はないからです。これは否定しえません。

もし利権に関係ないと主張するのであれば、公共工事だけでなく社会保障、あるいは給付金(ヘリマネ)のような形で財政出動し、有効需要を活性化すれば良いはずです。「消費者におカネを渡しても貯蓄されるだけだ」との意見もありますが、そもそも、公共事業を通じて賃金として消費者に渡った段階でも同様に貯蓄されるのですから、違いはありません。意味のない指摘です。

公共事業を行えば、確かに統計上はGDPが増加するものの、国民が消費活動したわけではないのです。あくまでも消費者に渡ったおカネが消費に使われるかどうか、それが本質的に重要です。ですから、同じように消費者におカネを渡すのであれば、公共事業を通じて渡さなければならない必然性はありません。にも関わらず、有効需要のために公共事業を無理に増やそうと主張すれば、それは利権だといわれても仕方ないのです。

もちろん、誤解されると困りますが、盲目的に公共工事を敵視するマスコミとは違います。公共工事は直接の利潤を生みませんが、社会資本として社会の基礎を支えたり、安全な暮らしを実現するために重要です。国土強靭化も必要でしょう。しかし、それらが景気を押し上げる効果はあくまでも二次的な効果であり、公共工事の本質的な目的ではないのです。

その一方で、リフレ派は利権がーと言ってケインズ派を攻撃し、自分達は利権と関係ないふりをしていますが、リフレ派も土建よりさらに巨大な利権です。

現代の金融制度において、世の中のおカネを増やすには誰かに借金を負わせるしか方法がありません。もし、借金を増やさなければ、世の中のおカネは1円も増えないわけです。リフレ派は新古典主義つまりマネタリズムの流れを汲むと考えられます。であれば、安定的な通貨供給を重視するはずです。

しかし、貸し出し金利を操作することで借金を増減させ、それによって世の中のおカネの量を調整するリフレ派の考えは安定するはずがありません。事実、歴史上、通貨供給が安定したことはなく、常にバブルとバブル崩壊を繰り返しています。

にも関わらず、リフレ派は決してその問題に切り込まないのです。

なぜか?金利が大切だからです。金利という「フリーランチ」が何よりも大切だからです。世の中のおカネがすべて借金から成り立つ制度であれば、金利は必ず発生します。これが人類最大の既得権益なのです。

もしリフレ派がマネタリストであるなら、当然ながらフィッシャーやフリードマンらの支持した通貨制度改革「100%マネー」を推進して当然なのです。100%マネーは借金によらない通貨供給のしくみであり、極めて安定的です。なのになぜリフレ派が通貨改革を主張しないのか?100%マネーにすると、金利がほとんどなくなるからでしょう。つまり、リフレ派は「金利によってフリーランチを謳歌している世界の1%の資産家」の利権に絡んでいるのです。

このように、リフレ派もケインズ派も、一歩離れて冷めた目で見てみると、どちらも利権に絡んでおり、リフレ派とケインズ派の争いは利権争いに過ぎないと見ることができるのです。そうしてみると、リフレ派とケインズ派の争いは実にバカバカしいw。あんなものは学者やエコノミストに勝手にやらせておけば良い。

わたしたち国民は、こんな馬鹿げた利権争いに乗せられてはいけません。もっと本質的な社会システムの確立のために、リフレ派の考えも、ケインズ派の考えも、バランスよく取り入れて行動すべきだと思うのです。