2017年12月20日水曜日

金融財政一体化の考えに至るまでの経緯

自分の考えは典型的なリフレ派やケインズ派とは異なります。何かの参考になるかも知れないので、こうした考えに至った経緯を書いてみます。

自分が最初に経済について真剣に考え始めたのはリーマンショックの頃、勤めていた会社が倒産した後からです。それまでも政治や経済に興味はあったものの、マクロ経済について、特に「おカネ」について考えることはなかったと思います。それまでは毎月70時間くらい残業する完全な会社人間でした。

いくら真剣に働いても経済がおかしくなると簡単に会社が倒産して人生がリセットされてしまう。再就職したものの賃金はそれまでの半分。心にむなしさが吹き荒れました。これはもう、個人の努力の問題ではないと理解したのです。

なぜバブルが崩壊して景気が悪化するのか。なぜ景気が一向に良くならないのか。最初に目を付けたのは財政出動です。ですからケインズ派ですね。大恐慌の後に効果を発揮したのがケインズ派です。財政出動すれば消費者におカネが渡って、景気は良くなる。有効需要です。政府はもっとどんどんおカネを使えというわけです。

そのうち、金融緩和という考え方が登場してきます。リーマンショック後の景気下落、失われた20年の原因はおカネを増やさない日本銀行に責任があるとの考えです。これにも目を付けました。リフレ派ですね。基本的におカネを増やさなければ経済はどうにもならない。金融緩和でおカネを増やして、財政支出をどんどんやるべきだと考えたのです。

しかしその頃、おカネについて調べていたとき、ユーチューブでとんでもない動画を発見しました。「Money as Debt」と「Zeitgeist2 Addendum」(どちらも日本語字幕版)です。ここには「おカネの仕組み」が説明されていました。が、それまでおカネの仕組みなど考えたこともなかった自分は、おカネは日銀が発行するものだとばかり思っていたため、頭が大混乱しました。

この頭の混乱を解決したのがバランスシートでした。おそらくバランスシートを用いなければ、現代の銀行制度を正しく理解することは不可能です。とはいえ、銀行制度とバランスシートを説明した資料はネット上にもほぼ皆無(最近はぼちぼち出てきたか?)でしたから、1年くらい自分の頭で徹底的に試行錯誤し、矛盾のない形に仕上げました。

その結果、準備預金制度の制度的な欠陥が理解でき、これを克服する方法があることもネット上で探し当てました。それがシカゴプラン、100%マネー改革でした。これは世界大恐慌による経済の壊滅的な被害を受けて、これを二度と起こさないために、フィッシャー、フリードマンらマネタリストが支持した方法ですね。しかし、100%マネーの論文も日本語で読める記事は極めて少ない状況です。

ここで、ケインズ派、リフレ派、マネタリズムの考えが出揃いました。してみると、これらの考え方の関係が見えてきます。そこには「おカネの仕組み」が非常に深く関与していたのです。

そして、おカネの仕組みから考えると、ケインズ派、リフレ派、マネタリズムをうまく融合して考えることが可能になり、それらが対立するという構図が、まったく意味不明であることがわかりました。マネタリストの支持する通貨制度改革「100%マネー」を核にして、それらを一体化できるはずなのです。

それが、「金融・財政の一体化」です。

何のことかわからないかも知れませんね。もっと詳しく書けばわかると思いますが、そこそこ長文になるので、今日はこのへんで。