2018年1月22日月曜日

野党の反アベ経済政策はアベコベ

反アベはおおいに結構だが、なぜ経済政策において安倍と反対方向に走るのか不思議です。安倍を否定することが、即、反対方向に走ることとは限らないと思うのです。

安倍政権の主導している金融緩和政策は、欧米では安倍政権より先行してすでに実施されていた政策で半ば世界常識です。欧米は金融緩和の効果で経済が好転しておりますから、日本における経済状況の改善も金融緩和の効果であると言って間違いないでしょう。日本だけ金融緩和の効果を否定するのはおかしな話です。

にもかかわらず野党は金融緩和を批判し、「安倍が金融緩和なら、我々は金融緩和に頼らずに経済を回復してやる」なんてカッコいいことを考えているのでしょうが、これはほとんど不可能でしょう。欧米先進国で成功例もないのに、どうやって金融緩和を用いずに経済を立て直すのか?

わざわざ、欧米でも日本でも効果が認められている金融緩和を否定して反対方向に走ろうとするのは、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」の例に過ぎないと思います。あるいは、安倍と同じ政策を行うのは「プライドが許さない」「沽券に関わる」と考えているのかも知れませんね。

何もわざわざ成功例を否定して反対に走らなくても、
もっと良い方法がありますよ。

現在の金融緩和をさらに進めて、次の段階へ進むことです。

現在の金融緩和は限界が見えているのも事実です。今日、世界経済の回復で輸出が伸び、オリンピックや被災地の復興による需要も大きく、景気の追い風がとても大きい状況です。にも関わらず、景気の指標でもあるインフレ率は2%に程遠い状況です。景気回復の実感に乏しく、個人消費は伸び悩んでいます。これは現行の金融緩和では効果が不十分であることを示していると考えられます。

このまま消費税が増税されてオリンピック特需が終わればどうなるか?まず間違いなく景気後退局面に入るでしょう。

そこで、金融緩和をさらに一段階進めて「ヘリコプターマネー」を実施するわけです。ヘリマネは金融緩和政策の一種であり、より強力です。現在の量的緩和はマネタリーベースを増やすことで間接的にマネーストック(世の中のおカネ)を増やすための政策ですが、ヘリマネはマネタリーベースと同時にマネーストックを直接に増やします。世の中のおカネを直接増やすほうが確実で強力なのです。

安倍政権はヘリマネを否定しています(麻生氏が発言)。ですから、これは明らかに安倍政権との差別化に使えるわけです。「安倍政権の金融緩和は弱い」として攻撃し、「我々は一段と強力なヘリマネ政策を実行する」と主張するわけです。反アベ活動になりますね。

一方、不思議なことに、金融緩和では「反アベ」をしている野党が、消費税では「親アベ」となって、安倍ともども消費税の増税にまい進しています。逆進性が高いとされる消費税の増税に野党が固執するのは理解できませんね。格差がーと言いながら、格差を広げる消費税を増税するのは疑問です。これは格差を広げる方向です。

安倍政権に不足しているのは格差是正です。
消費税の増税に対抗して、格差是正のための税制を導入する。

消費税の増税は経済に悪影響を与えてきたことは明らかな事実です。消費増税のたびに日本経済は腰折れしてきたのですから。この消費税の増税こそ「反対方向に走るべき」でしょう。そして、格差を是正するために「金融資産課税」を新たに設定するわけです。格差が拡大する原因は、資産が資産を生む仕組みにあります(ピケティ氏が指摘)。だから資産に課税するわけです。

しかも、金融資産課税で格差が是正するだけではありません。いまや金融緩和でおカネをいくら増やしても、金持ちがどんどん貯め込んでしまうため、景気が良くなりません。貯めこまれて死蔵されたままのおカネを吸い上げて再分配すれば、消費も間違いなく増加するでしょう。

この金融資産課税に安倍政権は間違いなく反対するはずです。ですから、これは「反アベ」活動に使えるはずです。

ヘリマネと消費税増税に代わる金融資産課税の創設。これをもって反アベ活動をおこなうべきだと思うのです。自分から見れば、今の野党の「反アベ」は、まるで「アベコベ」だと思うのです。