2018年2月2日金曜日

国民が理解できない通貨制度は良い制度か?

おそらく90%以上の国民は通貨制度を理解していないでしょう。もしマネタリーベースとマネーストックを知らない人がいるとすれば、その人は確実に通貨の仕組みを理解していません。そんなややこしい通貨制度で良いのでしょうか?

国民にわかりやすい通貨制度とは、どんなものでしょう。おそらく「政府(日銀)がおカネを発行して、それが世の中に流通する」というものです。そして多くの国民は、今の通貨制度はそうなっていると信じているでしょう。実際にはまったく違います。

もし日本銀行の発行したおカネがそのまま世の中に流通している制度であれば、そもそもマネタリーベースとマネーストックという言葉は生じないからです。

現在の通貨制度は、およそ国民の感覚とはかけ離れた制度ですから、国民が普通に考えている通貨制度に「戻す」必要があると思います。そうすれば、誰でもおカネの仕組みを理解できます。そうすれば、マネタリーベースを増やすことが、世の中のおカネを増やすことだと誤解して大騒ぎする人は出てこないのです。その方法はすでにフィッシャーやフリードマンら著名な経済学者によって示されています(100%マネー制度)。

現在の通貨制度は複雑すぎるため、これを理解することは一般の国民にとってハードルが高すぎます。国民の理解できない難解な通貨制度を使って経済を動かすことは、ある意味で「危険だ」と言えます。知識のない大衆は、専門家の舌先三寸で、どうとでも騙されてしまうからです。逆に言えば、為政者にとって国民を煙に巻きながら自分達の都合の良い方向へ政治を動かすには、これほど良い方法はないでしょう。

民主主義が有効に機能する条件は、政治や社会のシステムを誰でも理解することができ、それらを理解したうえで、国民が政治判断できることです。国民が理解できないような難しい制度を前提として政治を行うことは、民主主義が機能しているとは言えないでしょう。

ビットコインと呼ばれる仮想通貨が登場し、「貨幣」に関する既存の概念も大きく変化する兆しが現れてきています。まさにいま、通貨制度において、古い時代から新しい時代への変化が求められていると受け止めるべきだと思うのです。