2018年3月5日月曜日

金融正常化って意味わかってるの?

新聞テレビは「金融正常化(出口戦略)」なんてしたり顔で書いてますが、何がどんな理由で「正常化」なのか説明しません。意味も明確にせず「正常化」というお題目を唱えるだけです。

新聞テレビでは「金融正常化」と言うものの、何をどんな理由で正常化するのかきちんと説明した記事を見たことがないですね。日銀の資産が大きすぎると書いてあっても、そもそも日銀の資産が大きいと何が問題なのか不明です。これでは多くの人は今の金融の何がどんな理由で「非正常」なのかわからないでしょう。

なので、説明しようと思います。日銀の資産つまり保有国債が多いこと自体には何の問題もありません。なぜなら、それは日銀の供給している現金の量がそのぶんだけ増えているに過ぎないからです。何しろ政府の借金によって世の中に現金が供給されるのが現代金融の基本的な仕組み(管理通貨制度)なのですから、日銀の資産は通貨発行残高(マネタリーベース)を意味しているに過ぎません。

問題はその先です。増えた現金(マネタリーベース)によって、市中銀行からの貸し出し(マネーストック)がどんどん増え続けるリスクがあるのです。とはいえ、もとより、デフレを脱却するために現金の量を増やし、貸し出しを促進しようとして日銀が「量的緩和」を行ってきたのですから、貸し出し(マネーストック)が増加しなければ困るわけです。

ただし、貸し出しが増えすぎると、これまた困る。需要が増大し、モノが売れすぎて景気が過熱することでインフレになってしまいます。また資産バブルがどんどん膨張してしまいます。これは次なるバブル崩壊のリスクを拡大します。ちょうど良い具合に貸し出しが調整されれば良いわけですが、そんなもの人類の過去の歴史で成功したためしがありませんw。

話が逸れましたが、現金(マネタリーベース)が多いと、貸し出し(マネーストック)が増えすぎる恐れがあるというのが問題なのです。場合によっては貸し出しの増加を止められなくなり、インフレが止まらなくなります。なぜか?市中銀行が信用創造によって保有現金(マネタリーベース)の何倍ものおカネ(マネーストック)を貸し出すからです。これがバブル経済の根本的な原因となります。

つまり、これが「非正常」と呼ばれる原因なのです。
しかし新聞テレビからそんな話は一言も出てこないでしょう。
「正常化のお題目を連呼する」

では貸し出し(マネーストック)が暴走することを抑える方法は無いのか?その一つが増やしすぎた現金(マネタリーベース)を減らすことです。これを新聞テレビでは「出口戦略」と呼び、「金融正常化」と呼ぶのです。これを実行するのは結構至難の業です。しかし、それしか方法が無いわけではありません。

もう一つの方法は、市中銀行が現金(マネタリーベース)を「何倍にも膨らませて」貸し出す行為(信用創造)を抑制することです。そもそも、現金を、いわば勝手にふやして貸し出すこと、そのものが正常とは思われません。そんなことをすれば、世の中のおカネの量をコントロールできなくなるのは当たり前です。つまり、これ(信用創造)を正常化するのが、もう一つの方法です。

そしてその方法こそが「100%マネー制度」であり、マネタリーベース量=マネーストック量にすることで、現在の金利政策とは比べ物にならないくらい正確に世の中のおカネの量(マネーストック)をコントロールすることができる制度でもあるのです。

ところが、新聞テレビには後者の方法論はまったく出てきません。多くの場合、最初の方法論すらきちんと説明しないのですから、一般国民は知る由も無いのです。

そして、言葉遊びのように「出口戦略」「金融正常化」というイメージ用語だけが新聞テレビに飛び交っているわけです。こんな世の中で、経済が良くなって、人口が増えるなんて夢のまた夢ですね。