2018年4月25日水曜日

新・公共事業のすすめ

公共事業と聞けば新聞マスコミはパブロフの犬のように「バラマキだー」と大騒ぎしますが、そもそも公共事業の何が問題なのか不明確です。正しい公共事業なら供給力を向上して国民を豊かにします。

そもそも公共事業の何が問題なのか?それは公共事業そのものだけでは供給力を増やさない点にあります。例えば日本全国に新たな道路を作っても供給力は増えませんから、国民生活は豊かになりません。もちろんデフレであれば公共事業を通じて国民におカネが分配される効果はありますから必ずしもムダとは言えません。地震や台風などからの防災という点でもインフラは必要不可欠なものです。しかし供給力の点では効果は限定されますから、経済政策として従来型の公共事業を行うことはあまり効果的ではありません。

もし日本が開発途上であって、道路がないのであれば、公共事業によって道路を建設することで物流が活発化し、民間投資も巻き込んで、産業全体の拡大を促すはずです。それは供給力の増大を通じて国民生活を豊かにするはずです。ですからインフラの不足している国がインフラ投資を行なうことは供給力の拡大につながる効果的な支出です。

しかし、日本のようにインフラが十分に普及している場合、従来のインフラである道路、港湾、空港、鉄道のような公共事業を行っても、大幅な供給力の向上は期待できないわけです。しかしインフラはそれだけなのでしょうか?

例えばテクノロジーがあります。確かに民間によるテクノロジーへの投資は活発ですが、リターンが低くてリスクが大きい基礎研究には民間も躊躇するでしょう。そこで、基礎研究こそ新たな時代の「インフラ」であると考え、政府が積極的に公共事業(研究事業)を行うわけです。あたかも途上国の道路開発のように、基礎研究が完成すれば、そこに民間投資が集まってきて、大きな産業に育つ可能性があるわけです。それは供給力を高め、国民を豊かにします。

公共事業と聞けば条件反射で反対するのではなく、供給力を増やせるか増やせないか、といった観点からムダか、ムダではないかを客観的に判断すべきでしょう。その意味では従来型の公共事業に代わって、新・公共事業としての基礎研究事業にますますおカネを投入すべきだと思われます。少子高齢化に対応するためにも、人工知能やロボット、3Dプリンタ、あるいは再生可能エネルギーや資源リサイクルの分野における研究は、ますます拡大すべきです。

そして最も重要な点は「選択と集中をしない」ことです。研究において選択と集中をすれば、必ず失敗します。予期せぬことから大発明は生まれるのです。つまり「わけのわからない研究もどんどん予算を付けて」、とにかく研究させることが重要です。

もちろん、申し上げるまでもなく、財源は通貨を発行すれば良いだけですから。